若干小雨にはなったものの、スリップの恐れもあり、慎重はバイクを走らせます。目的地まで140kを3時間30分、しかも知らない街です。
先ずは松山市を目指します。地図を見ると、目的地の松山までの道路は、海沿いの国道378号線を走る方法と、山中を突っ切る197号線の2経路があります。前者は、海沿いを走るために、道は簡単ですが、かなり距離が増えますし、海沿いのため、海風を受ける危険性があります。後者は、山中で真っ暗ではありますが、最短距離です。雨に塗れた道をスピードを出すのは危険なので、後者を選びました。
八幡港と松山市は一度走っているので、何となく見覚えのある道ですが、結構険しい、そして真っ暗な峠を越えます。地図で見ると、「夜昼峠」というそうですが、街灯も何もありません。
大州市に入ったところで、原付不可のバイパスに直面してしまいました。仕方なくUターンをして、道を探しているうちに、方角と自分の位置を見失ってしまいました。
焦る気持ちを抑えて、立小便をしてお茶を飲み、ゆっくりと地図を見ながら、現在地を確認、またまた松山市へ爆走です。
ライトアップされた松山城を見た時、少しホッとしました。中間地点です。残りの時間と距離を考えると、何とか間に合う見込みがつきました。
休むことなく雨の中を、国道11号線を東へ向って走ります。ところが、道路標識と地図の位置がとうしても合致しないのです。後で判ったのですが、市町村合併があったそうで、10年以上前のマップルを後生大事に使っていたことが、ここにきて影響してきたのです。
東予港は、西条市より西側にあるので、とにかく海側を目指して坂を下っていきます。ところが、港の看板も見当たりませんし、道路の標識もありません。ここまでの緊張と疲労から疲れが出てきたのか、頭がボーッとして、どうにもならなくなりました。フェリー出航まであと20分。もう間に合いそうにはありません。ここで無理をしても、疲れたこの状態では、事故を起こしかねません。とにかく、街に出て、休憩を取り、明日一日かけて大阪まで約450キロを走って帰る気持ちを固めました。